ザクッ、ザクッ、今ではこの国の名産品となったサツマイモ畑を耕しながら、豊かな土地と希望を夢見て移民してきた時の事を思い出しています。
「あの国へ行けば今の生活を抜け出し、豊かな生活が待っている。」そう信じて疑わず、織部（ニックネーム：オリーブ）は故郷の日本を離れ、遠い異国の地で生きていく決心をしたのです。
でも現実は甘くなく、荒れ果てた土地どころかジャングルを切り開き、土地を耕し、豊かな土地に変えるには多くのプロセスが必要でした。
年月が経つにつれ、人々の間に不平不満が出始め、このまま一生ここに留まるのか、それとも日本へ帰るのか、皆それぞれの道を考え始めていた頃の事。
織部（オリーブ）はこう考え始めていました。
自分だって得意、不得意がある。この土地に作物が育たないのは、この土地に適さない作物を植えているせいではないのか？そういえば痩せた土地でもサツマイモは良く育つって聞いたことがある気がするなあ。
日本からサツマイモを取り寄せる途中、長い船旅で半数はダメになってしまったり苦い経験もあったけど、今やこの国の名産品となった甘～いサツマイモ、この国では「マゼンダ」と呼ばれているんですよ。
風の噂では、織部（オリーブ）さんがサツマイモ栽培でこの国に「希望を与えた」という事で、近々発行される新しいお札にサツマイモとオリーブの木が描かれるそうです。
